前にぶろ義に上げてたやつ。短いから2本まとめて上げます
前半と後半は繋がってなくて、逆パターン補完みたいな感じ。IF的なもんだと思ってください。
おろちの章ED後・バッドエンド・死ネタ・流血有。閲覧注意です。↓↓↓
一.
以前問うた事がある。
何故お前はその武をもって我に挑まぬのか、と。
すると男は
「あんたの生き様を見たい」
と言い、愉快そうに笑った。
終わりを求める己の生き様を見て何とするのか、
どうにも人間の考える事は理解できぬ。
そして、だからこそ遠呂智の興味を引いて止まなかった。
だが。
「…やはり脆い、な」
足元に転がるその男はひくりとも動かない。
「答えよ慶次…お前は何を求めた?」
我が終わりを求めたように。
お前も何かを求めていたのだろうか。
分からぬ。
男の身体からじわじわと朱が広がっていく。
それはついに遠呂智の爪先を濡らすに至った。
その瞬間、ああと遠呂智は目を細めた。
「そういう事か、慶次」
お前の望みも、我と同じであったか―――
二.
最後の一突きを受けた刹那、
遠呂智の口元に笑みが浮かんだように見えた。
ぜいはあと繰り返す己の呼吸が喧しい。
慶次はがくりと膝を突き、自らの槍に身体を預けた所で意識を手放した。
次に目を開けた時は、床の中だった。
いつからそうしていたのか、次第に鮮明になる視界には慶次の顔を険しい表情で見下ろしている片目の男――
「政宗か」
「二日も目を覚まさぬとは相変わらず暢気なものよ」
「それがようやっと目覚めた怪我人にかける最初の言葉かねえ」
政宗のつっけんどんな物言いに苦笑いを漏らし、よっと身を起こす。
見ればその身体は綺麗に清められ、傷を負った箇所には手当が施されていた。
「あんたがやってくれたのかい、驚いたねえ」
「人手が足りぬので仕方なくじゃ、勘違いするでない」
はっは、と慶次の笑い声が響く。
それを聞いて政宗は眉間の皺を少々緩めたが、すぐに元の険しい表情に戻り、
「…遠呂智が消えた」
と告げた。
「儂が駆け付けた時にはもうお主しかおらなんだ。何があった、遠呂智は――」
そこまで畳み掛けるように言葉を発すると、政宗は何とも言えぬ違和感を覚えた。
慶次の様子だ。何かしら反応があるべきが、あまりにも常と変わらぬのだ。
不吉な予感がぞわりと政宗の背中を駆けていく。
「慶次、お主まさか…」
「ああ」
遠くを見ていた視線が政宗を射抜く。
「俺が、終わらせてやった」
「な…っ」
淡々と紡がれた言葉に一気に政宗の頭に血が上り、
気づけば身体を労る事も忘れてその胸元に掴みかかっていた。
「血迷ったか慶次!!」
「至って正気さね」
乱暴に揺さぶられて上がったうめき声に、政宗ははっとその手を離す。
「す、済まぬ…いや!」
「あんたは」
「あんたは、本当に分からなかったのかい?」
「っ…分からぬわ!お主は一体何を考えて…!馬鹿めっ」
そう吐き捨てると、政宗は逃げるようにその場を立った。
「…分かってたんだろうが」
乱暴に閉められた扉に向かってぼそりと独りごちる。
「しかし、仙人ってのは死んだら何も残らないんだねえ…寂しいもんだ」
身勝手すぎるかい、だがこれが俺の正直な気持ちだ。
「だが後悔はしていないぜ、遠呂智よ」
そう言って慶次は再びごろりとその身を横たえた。